なんでもない放課後。

 

レンタルビデオを返しに行きました。

 

中学生ながら、

狭い町なのに、そういえば自分でこうやって

ビデオを返しに行くのは初めてだ。

どうせだから普段通らない道でも通って、

ぶらぶらしよう。

 

そう思って遠回りをしました。

 

 

長い坂道を下れば、あとは道を渡ってもうすぐ、という位置。

 

自転車の場合、反対側の歩道に渡るのは早い方がいい。

なぜって信号とか車の事情があるから、

渡れる時に渡った方がいいじゃないですか。

 

坂道を下りながら、今か今かとタイミングをはかります。

 

 

 

 

で、すべてのチャンスを逃し、

もうここで道を渡らなければ

という横断歩道まで来てしまいました。

 

あいにくきれいに車が途切れず、

なかなか反対側に渡れません。

 

 

 

 

すると、さっきまでそばのベンチで見ていたおっさんが

声をかけてきました。

 

 

 

「なぁ、この猫見てみ。かわいいべ。」

 

 

 

とりあえず

電車代を要求されることはないだろうと察したボクは、

「はぁ。かわいいですねぇ」

と普通に対応しました。

 

 

でも、この「肯定」がいけなかった・・・。

 

 

おじさんの目がきらりと光ったかどうかは

わからないけれど、

ボクの返事を聞いておじさんは続けました。

 

 

「こんな子猫までよぅ。みんな捨ててあるんだ。」

「かわいそうだろう?」

 

 

見るとおっさんの背後には

典型的な

捨て犬・捨て猫段ボール箱が。

 

 

そしてその周りには

たくさんの白い小動物。

 

 

 

「かわいそうですねぇ」

そういったのがまずかった・・・。

 

 

 

「これ一匹もらってくんねえか」

そういいながらおっさん、

自転車の前カゴに入れてあるレンタルビデオの上に

 

猫を。

 

 

 

わお。

からまれてるよこれ。

 

 

盗られんのもやだけど、

くれんのもやだな・・・。

 

 

なんとかおっさんから逃げよう。

なんとかおっさんを納得させよう。

まずカゴから猫を出そう!

 

 

そう思って知恵を振り絞りました。

 

 

ig「おじさんの家では飼えないんですか?」

oj「うちは社宅だから」

 

ig「うちも飼えないんですが」

oj「じゃあとりあえず持って帰って、周りの人に聞いてくれないかい?」

 

ig「でもこれだけの数、どうするんですか?」

oj「だからこうして少しずつ持っていってもらうんだよぅ」

 

なんだかくだらないやりとりが続いた後、

ボクはさっさと猫を下ろして

「とりあえず近所の人に聞いてみますからっ」

と吠え、

 

今度はあっさり間隔の開いた車を見切り、

(ついでに猫とおじさんもね)

道を渡ったのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

猫め・・・。

 

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