2004年3月。

ボクはオーストラリアにいました。

大学の仲間との一ヶ月の留学でした。

 

いろんな友に出会い、

いろんなモノを食べ、

いろんなモノを観て、

いろんなコトをして、

最高の一ヶ月を過ごしました。

 

詳しい内容は

pannktyさん、rei0612さんのホームページへ。


※なお、文中の黄色い文字

ボクの人生の岐路だったかもしれない

重要なイベントです。


 

ベジタリアンの家庭だったり、

放置プレイの家庭だったり、

友人のホームステイ先はさんざんだったようですが、

ボクのホストファミリーは素敵でした。

 

ボクのほかにも学生を住まわせていて、

家には絶えずホスト「ブラザー」が4〜5人いました。

 

中国人の高校生ケンジは

英語ペラペラでバスケうまいし、

 

ケンジの同級生ジェリーとは

テニスをして汗を流した(outsideに載ってます)。

 

カタールからのファハットは

アブラカタブラの発音めちゃくちゃうまいし、

 

タイ人のパッドは

かなりいいパソコンを持っていて

最高のサウンドでTRANCEを聴かせてくれた。

 

ニュージーランドから遊びに来ていた

ホストファザーの甥シャノンは

折れるくらい強い握手をしてくれた。

 

 

 

過去にタイに住んでいたことと

TRANCE好きだったこともあって、

タイ人のパッドとはよく話した。

 

彼の英語は上手くて、

ボクの英語は完璧じゃないので

しばしば会話をあきらめられることもあったが

 

それでもいろんな交流をした。

 

 

タイ料理を作ってくれたし、

日本食もちょっとだけ食べてくれた。

 

TRANCE話で盛り上がったところで、

今度クラブに連れて行ってくれると

約束してくれた。

 


 

さて、一ヶ月の語学研修も最終日。

一ヶ月近く通った語学学校では

卒業証書授与式と

お別れ会を開いてくれた。

 

いろんな料理と

飲み物が振舞われ、

お世話になったスタッフの人たちと

会話したり写真を撮ったりするまでもなく

ボクは食っていた。

 

 

宴も終わりに近づいた時、

ボクは気づいた。

バイキング形式の料理の向こうに

コーラとスプライトが。

 

ただのコーラとスプライトじゃなくて、

メガホンみたいにでかい。

3リットルはあるんじゃないか?

 

 

スタッフの人に聞いてみた。

「これもらってもいい?」※もちろん英語です

 

スタッフの女の人は言う。

「そいつぁいけねぇわよ」※もちろん英語です

 

それは残念。

でもこっそり持って帰りました♪


 

パーティーも終わり、pannktyさん、マックマツタケさんと

「最後に飲みに行こうぜ!」となり、

学校から駅に向かう途中にある

バーに入りました。

 

 

通りに面していて、

喫茶店みたいに開放感のあるバー。

テーブルやカウンターもあるけれど、

基本は立ち飲みらしい。

 

酒を飲む巨人たちの間をくぐりぬけ、

なんとかカウンターのおねいさんのとこに行き着く。

 

手に巨コーラと巨スプライトを持ったボク、

一ヶ月の前半をバナナで過ごしたpannkty、

一ヶ月のデジカメのメモリをスイス人に消されたマックマツタケ。

 

どうみても浮いていたけど、

旅の最後だ!

ということで、それぞれ一杯のビールを注文。

 

 

チアーーズ!!!

の声とともに、ビールを

 

 

ひとくち。

 

 

だって苦手なんだもの。

マックさんは未だにネタにするほど、

ボクは酒に弱いんです。

 

 

適当に酔って、店を出て、

3人はそれぞれの家へと分かれて帰りました。

 


 

バーからホストファミリーの待つ家までの行程は

バー

バス

バスターミナル

バス

といった感じ。

 

バスターミナルについた時点で、

ずっと手に持っていた

巨コーラと巨スプライトを

なんとか頑張ってカバンにしまいました。

 

バスに乗って、家に向かう。

このとき思いました。

「このバスに乗るのは最後だ。この帰り道も最後だ」

「最後にちょっとだけ歩こう」

 

こうして、家から最寄のバス停の

二つほど前のバス停で降りました。

 

 

バス停から家までは

ちょっとした登り坂になっていて、

振り向けば街の全体が見え隠れする、

そんな素敵な坂道でした。

 

 

でっかいカバンがジャマでしたが、

最後に街の夜景を撮ろうと思い、

デジカメで撮影を始めました。

 

夜景はなかなかうまく撮れない。

どうしても光がぶれてしまう。

交差点の標識にカメラを押し付けたりして、

撮影に苦戦していた

その時。

 

 

 

アボリジニのおっさんが声をかけてきた。


オーストラリアの原住民、アボリジニは、

裸に近い格好で狩猟をするイメージがあるけれど、

街の中にもいる。

しかし街中のアボリジニの場合、

服を着てはいるが基本的に貧しく、

ホームレスに近い印象があった。


 

アボリジニのおっさんは言う。

「あっちの方を撮ってみたらどうだ?」※以下英語です

 

ボクは言われた方向にレンズを向ける。

 

・・・そこには街がきれいに

隠れるように立つ

木が・・・

 

 

どうやら酔っ払っているらしい

酒瓶を手にしたアボリジニのおっさんは

ラム酒臭い息とともに言った。

「ほれ、もっとこう、撮ってみい!」

 

 

 

一応撮ってはみたものの、

黒い画面には丸い光がぽつん。

 

 

 

おっさんもしかしたら

めちゃくちゃ目が良くて、

ボクには見えないものが

見えてるのかなぁ?

 

でもこの暗さだと、

ボクの目に見えないものは

カメラにも写らない。

 

 

しょうがないから言いました。

「おじさん撮ってあげようか?」

 

 

カメラを向けるボクにおじさんはすかさず

「NO!NO!」

 

恥ずかしがるおっさんの様子をみて、

ボクは構えたカメラを下ろしました。

 

 

「ボクもう行かなくちゃ」

そう言っておっさんにさよならを言いました。

 

するとおじさんは

「気をつけて帰れよ」

 

お礼を言ってその場を立ち去る。

 

 

家まではほんの2ブロックしかない。

 

さあ、早く帰ってご飯を食べよう。

 

そう思った時でした。

 

さっきのおっさんが再び声をかけてきました。

 

 

「あっちを撮ってみたらどうだね?」

 

 

ふう。

ヨパラーイはこれだからやだよ。

 

そう思いながらもカメラを取り出しました。

 

おっさんは続ける。

「ほれ、もっとこう、撮ってみい!」

 

 

 

「ほれ、もっとこう、かしてみい!」

 

なんか変だなあと思っておっさんを見たらまあ。

 

 

 

酒瓶がすばやくナイフに早変わり!!!!!!!

 

 

ふう。ヨパラーイはこれだからやだよ。

 

 

 

 

っておっさん全然酔ってない!!

 

 

 

目がマジ。

 

 

 

今までの全部フリですかっ!?

 

 

 

何て言ってるのかは分からないけど、

言ってることはよく分かった。

 

「カメラをよこせ!」

だ。

 

 

間違っても

「ビールをおごれ」

じゃあない。

 

 

 

幸いカメラについている

首かけ用のヒモは

ボクの手にしっかりと巻きついている。

 

 

 

おっさんはそれでもひっぱる。

でもボクもひっぱる。

 

おっさんはヒモを切ろうと

ナイフをガシッガシッ!と振り下ろす。

でもボクはひっぱる。

 

 

やばい。

おっさんのナイフがボクに向いた。

 

何て言ってるのかは分わからないけど、

言ってることはよく分かった。

 

「手をはなせ!」

だ。

 

 

間違っても

「手が臭いぞ!」

じゃあない。

 

 

 

ヒモにつきつけていたナイフが

ボクの手首に向かう。

 

切るとか刺すとかじゃなく、

なんかこう「当てる」に近い感じ。

 

 

思わず手をはなした。

 

 

おっさん逃げた!

 

 

でもボクは

追いかけたっ!!!

 

 

カメラのヒモをつかみ、

「返せ!」的なコトを叫ぶ。

 

 

なんでだろう。

 

なぜか二人は

取っ組み合いの形に・・・。

 

 

ボクの方が歩が悪く、

首を絞められる形になってしまった。

 

「ごめんなさい、でもボクの大事なメモリーなんです!」

英語で叫びましたが、

なぜか謝り、なぜか敬語でした。

情けない・・・。

 

カメラをしっかりと抱きかかえ、

哀願する。

 

 

 

すると

おっさんは言いました。

「let me go, let me go!!」

 

直訳するとなんていうんでしょう?

「もうオレを行かせてくれ」

ってとこでしょうか?

 

おっさんは逃げていきました。

 

 

地面にヘタっていたボクは、

カメラを手におっさんが去っていくのを

ただただ見届けるだけでした・・・。

 

 

仲間と一緒に追いかけられるのも

怖いので、

人生で最速の2ブロック走破で

帰宅。

 

 

家に着く。


今晩は最後の夕食なのに。

 

裏口から入ると、パッドが迎えてくれた。

 

荷物を置き、

部屋の中で

荒々しい息のボクは

まさに今そこで起こった

テロをパッドに話した。

 

 

「大丈夫か?」

そういってくれたパッドに聞き返す。

「ボクはどこかケガをしていないかな?」

 

幸い目の上をすりむいただけで、

ほかにケガはなかった。

 

カメラは・・・

電池が抜け落ちたために

電源が入らない。

が、特に大きな損傷は見当たらない。

 

とりあえずパッドには口止めをし、

 

急いで食卓へと向かった。

 

 

「遅かったわね。」

そう言ってくれるホストマザー。

 

食べ終わっていたけど、

みんなだいぶ待ってくれたらしい。

 

今晩は最後の夕食なのに。

 

遅れたことを謝り、

ビールを飲んだこと、

バスが遅れたことを告げた。

 

「あら、そう。楽しんできたのね♪」

「だって今日はあなたの最後の晩なんだから♪」

 

いつもどおりの陽気なおしゃべりが、

ボクにはできなかった。

 

ただ「うん」とか「はい」とか

あいづちを打つだけだった。

 

今晩は最後の夕食なのに。


ANOTHER  STORY  製作中


次の日の朝。

もう今日は空港に行って

飛行機に乗って帰るだけ、

という帰国当日。

 

朝、身支度を整え、

「パッドは酔っ払っているわよ」

なんて笑い声を聞きながら、

朝食を食べる。

 

集合場所の学校に行くまで、

しばらく時間が空いた。

 

 

 

 

・・・行ってみようか・・・

 

・・・事件現場へ・・・

 

 

 

おそるおそる扉を開け、

周りに誰もいないことを

何度も確認し、

2ブロック先の交差点まで歩いた。

 

 

 

 

落ちてる!!

ボクのカメラの電池がっ!

 

 

それもただの電池じゃない。

 

今回のために買った、

4本で数千円する充電池。

 

・・・1・・・2・・・3・・・

 

最後の4本目が

どうしても見当たらない・・・。

 

 

 

しばらく探す。

 

 

 

あ!

何か落ちてる。

 

 

あ・・・

昨日のナイフ・・・。

 

 

それは

カッターかハサミの方がよっぽど

切れ味がするどいんじゃないか?

ってくらいの

おもちゃみたいな

ナイフ。

 

 

 

・・・なるほど・・・

 

あのおっさん、ナイフを落としたから言ったんだ・・・

「let me go」=「私を行かせてください」

 

 

 

というか、黄色い文字で書いた。

あの時もし

カバンにコーラをしまってなかったら。

二つ前のバス停で降りなければ。

デジカメで撮影をしてなければ。

そして

デジカメでおっさんを撮ってしまっていたら・・・。

 

 

どうなっていたことやら・・・。

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